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金利上昇局面においては、固定金利か変動金利のどちらを選ぶべきなのか?

2024.10.09 経営情報資金調達

金利上昇局面において、中小企業が固定金利か変動金利のどちらで借入をすべきかは、企業の財務状況、リスク許容度、借入期間、そして今後の金利動向の見通しによって異なります。ここでは、それぞれの金利タイプのメリットとデメリットを解説し、どのような企業がどちらを選ぶべきかを考えてみましょう。

1)固定金利のメリットとデメリット

〇メリット

金利上昇のリスクを回避

固定金利は契約期間中に金利が変動しないため、将来的な金利上昇の影響を受けません。これにより、借入コストを安定させることができます。

長期的な資金計画が立てやすい

毎月の返済額が一定であるため、キャッシュフローの予測が容易になり、資金繰りの計画が立てやすくなります。特に、長期的な計画を重視する企業にとっては、安定した返済条件が大きなメリットです。

×デメリット

金利が下がる局面では不利

固定金利を選択した後に市場金利が下落した場合、より高い金利を払い続けることになります。このため、金利が下がる局面ではコストが割高になる可能性があります。

初期の金利が高めに設定される

金融機関は、将来的な金利リスクを見越して固定金利をやや高めに設定する傾向があります。変動金利よりも高い金利でスタートする可能性があるため、短期的にはコストが増えることがあります。

2)変動金利のメリットとデメリット

〇メリット

金利が低いときに有利

変動金利は市場金利に連動しているため、金利が低下している時期には低コストで借入が可能です。初期段階では、固定金利よりも低い金利が適用されることが一般的です。

短期借入や状況変化に対応しやすい

変動金利は、短期間の借入や、金利の変動に迅速に対応できる企業にとっては有利です。短期間で返済を予定している場合、変動金利で低コストの恩恵を受けやすくなります。

×デメリット

金利上昇リスク

金利が上昇すると、返済額が増加するリスクがあります。金利上昇局面では、急激な借入コストの増加が資金繰りを圧迫する可能性があるため、リスク管理が難しくなります。

返済計画が不安定

金利が変動するため、返済額が予測しにくくなり、長期的なキャッシュフローの管理が困難になります。これは特に、将来の資金計画を立てにくい企業にとってデメリットです。

3)どちらを選ぶべきか?状況別の提案

a.金利上昇が予測される局面

金利が今後も上昇する見込みが強い場合、固定金利が適している可能性が高いです。これにより、金利上昇リスクを回避し、借入コストを一定に保つことができます。
特に、長期的な借入や安定した返済計画が必要な企業にとって、固定金利は有利な選択です。

b.短期的な借入や金利が安定している局面

もし、借入期間が短く、すぐに返済できる見通しがある場合や、現在の金利が低く、短期間での金利上昇リスクが少ないと考えられる場合には、変動金利を選ぶことが合理的です。
特に、短期的な資金ニーズに応じるための借入には変動金利が向いています。

c.金利の動向が不透明な場合

金利の動向が不透明で、今後の変動が読みにくい場合は、一部固定・一部変動金利のハイブリッド型借入も検討する価値があります。
これにより、金利上昇リスクをある程度抑えつつ、変動金利の低コストを活用できるため、リスクとコストのバランスを取ることができます。

d.リスク許容度が低い場合

中小企業は大企業に比べて資金繰りの安定性が低いことが多く、急激な金利上昇が深刻な影響を与えることがあります。
このため、リスク許容度が低い企業は、固定金利を選ぶことでリスクを抑えることが賢明です。

4)最終的な決断のための考慮事項

借入の目的と期間

長期の借入や設備投資など、返済期間が長い場合は固定金利が好ましいでしょう。
一方、短期的な資金ニーズには変動金利が適していることがあります。

リスク許容度

金利の上昇に耐えられる資金体力やキャッシュフローがあるかどうかを考慮してください。
リスクを抑えたい場合は固定金利が安全です。

経済・市場動向のモニタリング

金利の変動は経済全体の状況に左右されるため、経済動向や中央銀行の金利政策を常に注視することが大切です。

結論

金利上昇局面において、固定金利を選ぶことでリスクを回避し、安定した財務運営を行うことができる企業もあれば、短期的に変動金利の低金利を活用する方が有利な場合もあります。
最も重要なのは、企業のキャッシュフローやリスク許容度をよく理解し、それに基づいて最適な選択をすることです。