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お知らせ

合同会社の銀行口座開設、また創業融資の難易度は?

2023.03.22 経営情報

新規に法人を設立する時に、
「株式会社ではなく合同会社にしたい」
と希望される方は一定数いらっしゃいます。

その一方で、合同会社を設立された方から、
「金融機関での法人口座の開設に非常に時間がかかった」
「創業融資を断られた」
との相談を受けることがあります。

たしかに新設法人の銀行口座開設は年々厳しくなっており、その対策について先日のブログでお知らせしました。

『新設法人が銀行口座をスムーズに作り、創業融資を受ける方法』
https://shirakawa-office.com/news/management/howtocreate_newcorporatebankaccount/

ところが先日、ある地域金融機関の担当者から衝撃的な話を聞いたのです。

金融機関担当者:
「合同会社だと、法人口座の開設を求められてもお断りしています」

金融機関と取引がなければ、創業融資もままなりません。

しかし合同会社の設立にはメリットもありますので、両者の天秤をどう考え、どう行動するのかが今日のテーマです。

【もくじ】
1 「合同会社」を門前払いする金融機関は少なくない
2 合同会社、株式会社との比較とメリット
3 合同会社が法人口座設立に不利な理由
4 合同会社は創業融資に特段不利ではない。しかし…
5 金融機関の考え方・つきあい方を知れば適切なアドバイスが可能


1 「合同会社」を門前払いする金融機関は少なくない

その金融機関は、「合同会社」というだけで最初から排除していると言います。
また「同様の方針の金融機関は少なくない」とのことでした。
もちろん対外的に公言しているわけではありません。
金融機関の「内規」として取り扱っているのだそうです。

2 合同会社、株式会社との比較とメリット

株式会社と合同会社には、いくつか違いがあります。両者を比較してみましょう。
●設立手続き費用
株式会社:約18万円~
合同会社:約6万円~

●役員の任期
株式会社:通常2年、最長10年
合同会社:任期なし

●定款
株式会社:認証が必要
合同会社:作成は必要、認証は不要

ほかにも差異はありますが、上記ご覧のように「スモールスタート」できるのは、合同会社の大きなメリットです。
「簡易な手続き」「安価な費用」で、合同会社設立に魅力を感じる創業者は少なくないでしょう。実際、株式会社ではなく合同会社を設立する創業者は、以前よりグンと増えていると私も感じています。

しかし、「始めやすさ」は、いざというときの「撤退のしやすさ」。
誠実な商売を、末永く続けたいと考える人ばかりではありません。

実は上記の金融機関担当者は、合同会社の口座開設を断る背景として、こう明かしました。

金融機関担当者:
「合同会社が開設した口座が反社会的勢力に利用されている事例が多いから」

つまりそのような勢力も、「始めやすさ」「撤退しやすさ」を利用して合同会社を選ぶことが多いと、金融機関に推測されているのでしょう。

3 合同会社が法人口座設立に不利な理由

「合同会社 口座開設」で検索すると、「合同会社でも口座開設は可能」と解説する記事が多く提示されます。

たしかに私が閲覧した複数の記事に、間違ったことは書かれていませんでした。
しかし金融機関の現場の話を聞けば、そう簡単に開設しないだろうと考えられます。

冒頭でお話ししたとおり、ここ数年、新設法人の金融機関口座開設の難度が上がっています。
合同会社だと、株式会社よりさらに不利だと考えていいでしょう。

その理由を以下にまとめました。

①反社会的勢力に利用される割合が多いと推測されている
先述のように、株式会社に比べて「合同会社は反社会的勢力に利用されているケースが(有意に)多い」と金融機関は判断しているようです。

②事業目的不明と判断されやすい

株式会社設立時は定款の作成・認証が必要ですが、合同会社では作成は義務であるものの、認証は不要。定款が実際の業務に即しているかどうか、また事業目的についても、誰も明確に判断しにくいのです。

4 合同会社は創業融資に特段不利ではない。しかし…

株式会社・合同会社・個人事業主、いずれも創業融資審査の有利/不利はありません。
創業融資でよく利用される日本政策金融公庫、また協調融資事例もあるでしょうから民間金融機関もあわせて考えてみましょう。

いずれにせよ創業融資申請時に重要視されるのは、以下の3点です。
①自己資金
②経験年数
③創業計画書

この3点が金融機関にとって説得力の高い内容なら、合同会社だからといって審査に不利に働くことはないでしょう。

しかし合同会社にした理由が「設立費用を削減するため」なら、「自己資金の準備が少ない創業者」と判断されがちです。

また、以下のような懸念も出てくるでしょう。

金融機関A:
「創業に必要な準備が、もしかして他の面、たとえば経験年数などでも整っていないのでは…?」

金融機関B:
「熱意や本気度が、どこまであるのか。判断できる資料がないことには…?」

金融機関C:
「軌道に乗る前に早い段階で事業継続をあきらめてしまうのでは…」

審査時にこんな疑念が生まれると金融機関はリスクと考え、申請側には残念な結果しか見えません。

そこで「合同会社設立×創業融資」を検討されている事業者様は、以下の注意点・対応策を参考にしていただけたらと思います。

5 金融機関の考え方・つきあい方を知れば適切な対応が可能

新設法人による口座開設は難しくなっていますが、もちろんまったく不可能ではありません。

対策のポイントは下記4点です。
1 口座開設×創業融資に協力的な金融機関を選ぶ
 →メガバンクではなく地域金融機関に打診

2 提出書類の記載事項をモレなくチェック
 →基本的な書類不備は意外と多い

3 口座開設に有利に働く追加資料を作成
 →例)定款の説得力を高める材料として、業界経験や設立動機、また競合調査報告書など

4 適切なアプローチ
 →設立の「前」に支店訪問して担当者と関係と作る、など

とくに「1」の金融機関の選定は大切です。
とはいえ、目当ての金融機関に「合同会社お断り」の内規があるかどうか外部から知ることはできず、実際にあたってみるしかありません。

ただし、上記4点をおさえて対策できれば、合同会社も口座開設しやすくなり、その後の創業融資を受ける可能性がグッと高まるといえるでしょう。

経営者として何をしておくべきか?

とはいえ、創業の際の事業計画書の作成などは手間暇もかかり、なかなか自分一人で対応するのが難しいものです。

そんなとき周りにいる「詳しそうな人」、たとえば税理士に相談するのですが、それでも金融機関のことを熟知している人は多くはありません。だからこそ、金融機関の審査についてアドバイスができる税理士さんに相談できるようにしておきたいものです。

白川浩平税理士事務所では、会社設立・創業融資支援から、社長が本業に集中するためのバックオフィスDX化のお手伝いまで、創業サポートを得意にしています。

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