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お知らせ

ニュースレター2025年4月号

2025.03.26 ニュースレター経営情報補助金・助成金資金調達

4月は入学や就職、転勤等、新生活が始まる季節です。心も新たに頑張っていきたいと思います。
掲載内容に関してご不明点等があれば、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

【主な内容】
◆決算前に確認!少額減価償却資産の特例
◆変わるキャッシュレス納付
◆育児中の従業員を支援 4月から始まる新しい給付金
◆独身用借上げ社宅の賃料と従業員負担額

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決算前に確認!少額減価償却資産の特例

令和5年度は約66万の法人が適用した「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」( 以下、少額減価償却資産の特例 )。法人の決算前に改めて適用のポイントを確認します。

少額減価償却資産の特例とは

少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を、令和8年3月31日までの間に取得などをして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、合計300万円を限度に即時償却(全額損金算入)することができる制度のことをいいます。

この場合における「中小企業者等」とは、大規模法人の支配を受けていない資本金1億円以下の青色申告法人で、常時使用する従業員数が500人以下の法人であるなど、一定の法人等を指します。非常に細かな要件がありますが、ここでは説明を割愛いたします。
また「合計300万円」とは、一事業年度あたりの合計をいい、事業年度が1年に満たない場合には、月数按分した金額となります

判定ポイント

  1. 消費税の経理方式
    「取得価額が30万円未満」とは、消費税の経理方式が税込であれば税込で、税抜であれば税抜で判断します。

  2. 他の特例制度との併用
    少額減価償却資産の特例は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできませんが、IT 導入補助金など法人税法上の圧縮記帳との併用は可能です。そのため、このような圧縮記帳を適用した場合には、圧縮記帳適用後で「30万円未満」の判定を行いますので、ご注意ください。

  3. 貸付用
    主要な事業として行われている場合を除き、貸付用は対象外となります。

他制度との選択

取得価額が20万円未満であれば、3年間の均等償却(一括償却資産の損金算入)を選択することができる他、10 万円未満であれば少額の減価償却資産として損金とすることができます。

これらのいずれかを選択した場合は、償却資産として固定資産税の対象とはなりません(圧縮記帳を適用した場合は、適用前の取得価額で判断します)が、少額減価償却資産の特例を適用した場合には、対象となります。

適用時の手続き

少額減価償却資産の特例を適用するには、法人側で損金経理(費用処理)をするとともに、申告時には一定の明細書を添付する必要があります。
なお、個人(所得税)においても、同様の制度が存在します。

変わるキャッシュレス納付

現金を使用しない非対面の納付方法を「キャッシュレス納付 」といいます。その特徴として、金融機関や税務署の窓口等へ行く必要がないこと、自宅や事務所等で納付手続きを行うことができることが挙げられます。 
「キャッシュレス納付 」とされている納付方法は、次のとおりです。

  • 振替納税
    事前に届出をした預貯金口座から、振替日に自動で口座引落しにより納付する方法

  • ダイレクト納付
    e-Tax やeLTAXによる簡単な操作で事前に届出をした預貯金口座から、口座引落しにより納付する方法

  • インターネットバンキング等
    インターネットバンキング口座などから納付する方法

  • クレジットカード納付
    インターネット上のクレジットカード支払の方法を利用して、「 国税クレジットカードお支払サイト」 や「 地方税お支払サイト」 等から納付する方法

  • スマホアプリ納付
    【国税】専用サイトから、利用するスマホ決済アプリを選択し、納付する方法
    【地方税】スマホ決済アプリから、納付書のQRコード( eL-QR )等を読み取って納付する方法

国税庁の公表によれば、令和5年度における国税の納付件数のうち、キャッシュレス納付件数の割合は39%でした。
ここからは、キャッシュレス納付の手続きについて、今年に入ってからの変更点をいくつかご紹介します。

国税のクレジットカード納付の変更

国税におけるクレジットカード納付について、1月4日から納付受託者が変更され、手続きを行うサイトが変更されています。同時に、納付税額1万円ごとにかかる決済手数料が、税抜76円から90 円に上がっています。

国税のスマホアプリ納付の変更

国税におけるスマホアプリ納付については、2月1日から、決済専用サイトへのアクセス方法が集約されています。
また、スマホアプリ納付は納付税額が30 万円以下の方が利用する方法ですが、30万円を超える方が複数回に分けて納付することで実質30万円を超える納付税額でも納付が可能であったところ、これを控えるよう促す文が国税庁サイトで示されています。

地方税のダイレクト納付の変更

地方税におけるダイレクト納付について、PCdesk(DL 版・ WEB版)をご利用の場合、3月24日以降、納付手続き等の際は、ワンタイムパスワードによる二段階認証になります。

育児中の従業員を 支援4月から始まる新しい給付金

この4月から、育児をする従業員が受給できる雇用保険の給付金制度が、新たに2つ始まります。育児休業に対してもらえる「出生後休業支援給付金」と、働きながらもらえる「育児時短就業給付金」の2つです。

出生後休業支援給付金

育児休業に対してもらえる雇用保険の給付金には、育児休業給付金と、産後パパ育休を取ったときにもらえる出生時育児休業給付金があります。

今回新設される出生後休業支援給付金は、上記2つの給付金に上乗せして支払われる給付金です。子どもが生まれた直後の一定期間※1に、両親ともに※2 14 日以上の育児休業を取る場合に、最大28日間、賃金※3 の13%が支払われます。

これにより、育児休業給付金や出生時育児休業給付金と合わせると、賃金の80%が補てんされることになります。これに育児休業中は社会保険料が免除されることや、これらの給付金が非課税であることを加味すると、手取り10割相当の給付となります。

出生後休業支援給付金は、育児休業給付金や出生時育児休業給付金の申請時に一緒に、同じ支給申請書で手続きをします。また、育児休業給付金や出生時育児休業給付金が支給された後に、別途申請することも可能です。

※1 父親の場合は子どもが生まれてから8 週間以内、母親の場合は産後休業後8 週間以内。
※2 配偶者がいない場合や配偶者が就労していない場合等、一定の場合には、配偶者の育児休業の取得は要件とされません。
※3 休業開始時賃金日額(育児休業開始前6ヶ月間に支払われた賃金の総額÷180日)

育児時短就業給付金

育児時短就業給付金は、育児のために時短勤務にしたことで賃金が減った従業員を支援する制度です。 

対象は、2 歳未満の子どもを養育する従業員です。性別や、育児休業の取得実績は問われません。育児時短勤務前と比べて賃金が減った等の要件を満たした場合に支払われます。
支給額は、育児時短勤務中に支払われた賃金の10%相当額が上限です。減った分の収入を補うものですので、育児時短勤務前の賃金水準を超えないように調整されます。

制度開始にあたり、すでに育児時短勤務をされている方を対象に、経過措置が設けられています。 2025 年3月31日以前に育児時短勤務をしている場合は、2025 年4月1日から育児時
短勤務を開始したとみなし、それ以降の育児時短勤務が支給の対象となります。

なお、他にも要件として、育児休業や育児時短勤務を開始する前に一定期間、雇用保険に加入していること等が求められることにもご注意ください。
いずれも申請は、原則事業主が行います。詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。

独身用借上げ社宅の賃料と従業員負担額

4 月は移動が増える時期です。従業員用の社宅を準備する企業もあることでしょう。
ここでは、2022 年(令和4年)に人事院が行った調査結果から、独身用借上げ社宅を保有する企業における、借上げ社宅の賃料と従業員の負担額などをみていきます。

全体の状況

上記調査結果から、独身用借上げ社宅がある企業における、2022年時点の独身用借上げ社宅の賃料と従業員負担額の推計平均額、従業員の負担割合を従業員規模別にまとめると、下のとおりです。

調査結果全体の結果(規模計)では、独身用借上げ社宅の賃料(以下、賃料)は64,309円でした。従業員の負担額(以下、負担額)は18,184 円で、従業員負担割合( 以下、負担割合)は28.3%となります。
従業員規模別(以下、規模別)では、賃料と負担額、負担割合のいずれも50人~99人が最も高く、賃料は7 万円を、負担額は2万円を超えました。負担割合は50人~99人と100人~499 人の差は0.3 ポイントと小さくなりました。

東京都特別区内の状況

 東京都特別区内の全体の結果(規模計)では、賃料が84,394 円、負担額は20,346円で、負担割合は24.1%でした。規模別では50人~99人の賃料と負担額が最も高くなりました。ただし負担割合は、100人~499人が24.5%と最も高くなっています。

独身者用借上げ社宅の場合、いわゆる1ルームや1K 程度の広さが想定されますが、規模計で比べると、東京都特別区内は全体に比べて賃料で20,000 円程度、負担額で2,000 円程度高い状況です。負担割合では4ポイント程度、全体の方が高くなっています。

5月号では、世帯用借上げ社宅の状況をご紹介します。

特別休暇制度の導入状況

企業の中には労働条件の見直しとして、休暇を増やすところがあります。ここでは厚生労働省の調査から、企業の特別休暇の有無などに関するデータをみていきます。

特別休暇制度の有無 

上記調査結果から、特別休暇制度がある企業割合をまとめると、下表のとおりです。全体(調査産業計)では59.9%でした。前回調査の55.0%から4.9 ポイントの増加です。産業別では、金融業,保険業が最も高い状況です。

特別休暇の種類別では、夏季休暇がある企業が最も多くなりました。

特別休暇の利用状況

次に特別休暇の利用状況をみると、調査産業計では夏季休暇が97.6%、病気休暇は80.9%、リフレッシュ休暇は84.1%、1週間以上の長期の休暇は82.5%となりました。

なお、特別休暇の賃金支給状況で全額有給の割合は、夏季休暇が81.4%、病気休暇は44.2%、リフレッシュ休暇は89.3%、1週間以上の長期の休暇は69.5%でした。

従業員の採用・ 定着には休暇も重要な要素です。特別休暇はなくとも、普段から有給休暇などが取得しやすい環境を整えるなどの対策も大切でしょう。