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ニュースレター2025年6月号

2025.05.20 ニュースレター

ニュースレター2025年6月号をお届けします!

6月といえば梅雨。雨の日が多くなる時期となりますが、日本の風物詩として楽しみたいですね。
掲載内容に関してご不明点等があれば、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

【主な内容】

◆給与等に係る源泉徴収事務への反映はいつ?
◆情報の収集や財産の把握に利用される調書
◆2025年4月からの高年齢者雇用の対応策
◆2024年の産業別夏季賞与支給状況

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給与等に係る源泉徴収事務への反映はいつ?

令和7年度税制改正では、給与等に係る源泉徴収事務へ影響を及ぼす改正がいくつかなされています。源泉徴収事務への反映時期を確認しましょう。

影響を及ぼす改正とは

令和7年度税制改正では、物価上昇局面における税負担の調整や就業調整への対応のため、所得税においては、主に次の見直しが行われました。

給与所得控除
● 最低保障額を65万円に(10万円引き上げ)

所得控除の新設(特定親族特別控除)
● 大学生年代(19歳以上23歳未満)の一定の親族等を有する場合には、その親族等の合計所得金額に応じた控除額(3万円~63万円)を控除

基礎控除
● 合計所得金額が2,350万円以下である控除額を58万円に(10万円引き上げ)
● 特例として、合計所得金額が655万円以下である場合に、合計所得金額に応じた金額(5万円~37万円)を加算する

これらの見直しに伴い、扶養親族等の合計所得金額等の要件も、次のように見直されています。

同一生計配偶者及び扶養親族
● 合計所得金額要件を58万円以下に(10万円引き上げ)

ひとり親の生計を一にする子

● 総所得金額等の合計額の要件を58万円以下に(10万円引き上げ)

勤労学生
● 合計所得金額要件を85万円以下に(10万円引き上げ)

その他、給与所得の源泉徴収税額表(月額表)など、源泉徴収事務に関わる税額表や申告書等についても見直されました

源泉徴収事務への反映時期

居住者に対して支払う給与等(給与所得)の源泉徴収事務は、以下の2つの事務に大別することができます。
今般の改正において、それぞれ反映する時期が異なります。

(1)月々(日々)の給与等を支払う際に行う源泉徴収事務
毎月(日)の給与等の支払いの際に用いる税額表や、利用する申告書等の書類、扶養親族等の数を計算する際のそれぞれの要件等の改正については、次の分より適用されます。

● 令和 8 年 1月 1日以後に支払うべき給与等

そのため、令和7年中は、用いる税額表等や年の途中で扶養親族等の数が変更となる場合にも、改正前を適用することとなります。

(2)年末調整事務
年末調整を行う際に用いる税額表や申告書等の書類、対象となる扶養親族等の要件等の改正については、次から適用されます。

● 令和 7 年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が令和 7 年 12 月 1日以後であるもの

12月1日以後であることから、通常の年末調整事務であれば改正後が適用されますが、年の途中で年末調整事務が発生した場合に、ご留意ください。

情報の収集や財産の把握に利用される調書

一定の要件に当てはまる個人が提出する「国外財産調書」や「財産債務調書」。これら調書の主な用途は、情報の収集と財産の把握および蓄積です。令和6年分の提出期限は、6月30日です。

情報の収集や蓄積を図るための調書

適正・公平な課税の推進のために、国税庁が重点的に取り組む事項の1つとして、「資産運用の多様化・国際化を念頭に置いた調査の実施」があります。
これは、増加する個人の海外投資や企業の海外取引などについて、資産隠しや国際的な租税回避に対応するため、次の点を推進し、積極的に調査を実施しているものです。

● 情報リソースの充実(情報収集・活用の強化)
● 調査マンパワーの充実(執行体制の整備・拡充)
● グローバルネットワークの強化(外国当局との連携等)

情報リソースの充実を図るために活用されているものの中には、次の調書があります。

国外送金等調書
国外への送金や国外から受領した額が100万円を超えるものについて、その送金等を行った金融機関が作成して提出
提出数:790万枚

国外財産調書
国外に一定の財産を有している個人が作成して提出
提出数:12,494件

財産債務調書
一定の所得等か財産を有している個人が作成して提出
提出数:74,772件

この他の制度も活用して、取引や財産を把握し、分析を行い、的確に対応しています。
また、富裕層における将来の相続税の適正課税に向けた情報の蓄積も図られています。

ここでは、個人が提出することとなる2つの調書について、提出義務者を確認します。

国外財産調書と財産債務調書の提出義務

(1)国外財産調書
その年の12月31日現在で、次の要件すべてに該当する個人が提出義務者となります。

【 要件(① ②すべての要件に該当すること) ②すべての要件に該当すること) 】
① 日本の居住者(日本国籍がない一定の個人を除く)であること
② ①が保有する国外財産※の合計が 5,000 万円を超えていること
(※)国外財産例:国外に所在する不動産、国外に所在する銀行に預け入れをしている預金等

(2)財産債務調書
次の要件のいずれかに該当する個人が、提出義務者となります。

【 要件(① ②いずれかの要件に該当すること) 】
① その年の所得が 2,000 万円を超え、かつ、その年の 12 月 31日において合計 3 億円以上の財産若しくは合計 1 億円以上の有価証券等を有すること
② その年の 12 月 31日において合計 10 億円以上の財産を有すること

いずれの調書も、令和6年分は令和6年12月31日の現況により判断します。外貨建ての財産は、年末の為替相場で円換算します。注意しましょう。提出義務者は、令和 7年6月30日までに作成して税務署へ提出します。

2025年4月からの高年齢者雇用の対応策

高年齢者雇用安定法の経過措置が終了し、2025年4月1日から、65歳までの雇用確保措置が完全義務化されました。高年齢者雇用について、継続雇用制度を中心に解説します。

65歳までの雇用確保が義務化

60 歳定年としている企業が比較的多くあります。一方で、60 歳を過ぎた後も働き続けている労働者も、たくさんいます。

働く意欲のある高年齢者が年齢に関係なく活躍できるよう、企業には65歳までの雇用確保措置を採ることが、法律で義務付けられています。次の3つのうちいずれかの対応をしなければなりません。

1.定年制そのものを廃止する
2.定年年齢を 65 歳まで引き上げる
3.希望者全員が 65 歳まで働ける制度を導入する

このうち3. が「継続雇用制度」と呼ばれている措置です。

定年年齢を65 歳ではなく、60 歳等とすることは問題ありません。しかしこのように65 歳を下回る定年年齢を定めた場合には、3.の継続雇用制度を導入し、「定年を迎えた従業員が希望したときは、原則、誰もが65 歳まで働き続けることができる」という体制を整備する必要があります。

約7割が継続雇用制度を選択

では、上記 3つの雇用確保措置のうち、企業はどれを採用しているでしょうか。

厚生労働省の調査※によると、最も多く採用されているのが3. の「継続雇用制度の導入」でした。全体の67.4%の企業が、この措置を採っていると回答しています。

就業規則をご確認ください

「継続雇用制度」では、従業員が継続雇用を希望している場合、「これを拒否して継続雇用しない」という対応を採ることは、基本的には認められません。例外として、就業規則の「解雇事由」または「退職事由」に該当する場合には、継続雇用せず、雇用契約を締結しないことが認められています。

そのほか、2025年3月31日以前は「継続雇用の選定基準」として、定年時に継続雇用する対象者を限定する基準を就業規則で定めることができました。しかしこの経過措置も終了しています。就業規則に選定基準が残っている場合は、高年齢者雇用安定法違反となるため、速やかに削除する必要があります。

今回の継続雇用の選定基準の終了を機に、定年制度のあり方や就業規則を再確認し、適切な対応を行いましょう。

2024 年の産業別夏季賞与支給状況

今年も夏季賞与の支給時期を迎えます。ここでは賞与支給の参考資料として、厚生労働省の調査結果※から、主な産業別に昨年の夏季賞与の支給額などをご紹介します。

前年を上回る1人平均支給額

上記調査結果から、2024 年の夏季賞与支給労働者1人平均支給額(以下、1人平均支給額)などをまとめると、下のとおりです。

調査産業計の1人平均支給額は、事業所規模5~29人が28.3万 円、30~99人規模が36.1 万円で、いずれも前年を上回りました。きまって支給する給与に対する支給割合は、5~29人が1.02ヶ月、30~99人が1.13ヶ月で、どちらも1ヶ月を超えました。支給事業所数割合は、5 ~29人が70.0%、30~99人は88.9%で、5~29人が前年の62.3%から7.7ポイント増加しました。

前年比100%超の産業も

産業別の1人平均支給額は、数万~80万円台までと、幅のある結果になりました。前年比は同じ産業でも、規模や細かな産業分類によって増減に差があるケースがみられます。きまって支給する給与に対する支給割合は、30~99人で2ヶ月を超える産業がみられました。支給事業所数割合では、100%となる産業はないものの、多くの産業で50%を超えました。

前年に続き、今年も様々な産業で賃上げが行われています。夏季賞与にどのような影響を与えるでしょうか。

個人住民税の特別徴収が今月から変更になります。また、労働保険の年度更新なども早めに手続きをしておきましょう。