医療機関版ニュースレター2025年3月号
2025.03.13 ニュースレター経営情報電子カルテ情報共有サービスとは?
医療DX 推進体制整備加算(今年度改定で新設)の要件に「電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること」があり、この要件は2025 年10月1 日から適用されます。どのような仕組みなのか、概要をまとめました。
2025 年度中に本格稼働
電子カルテ情報共有サービスは、患者の電子カルテ情報を全国医療情報プラットフォームに集約し、全国の医療機関や薬局等で共有するための仕組みで、医療DX の骨格を担う取り組みです。今年1 月よりモデル事業がスタートし、本格稼働は2025 年度中とされています。以下のサービスが提供されます。
紹介状送付サービス
紹介元の医療機関が登録した診療情報提供書や退院サマリーを、紹介先の医療機関等が電子的に取得できるサービスです。紹介元医療機関では印刷・封入等の作業コストが、紹介先医療機関ではデータ化の手間がなくなります。また、患者の持参忘れもなくなるため、受診予約が無駄にならないというメリットもあります。
健診文書閲覧サービス
各種健診結果を、医療保険者、全国の医療機関等や本人等が閲覧できるサービスです。これまでより直近の検査結果や、より多くの検査項目の情報が得られやすくなります。
6情報閲覧サービス
患者の6 情報(傷病名・アレルギー・薬剤禁忌・感染症・検査・処方の情報)を全国の医療機関等や患者本人が取得・閲覧できるサービスです。過去に他医療機関で受診した際の情報が閲覧できます。患者の申告に正確な6 情報が補足されることで、問診の効率化や診療の質の向上、個人の病状に応じたより適切な服薬指導が叶います。
導入に際して発生する医療機関でのシステム改修費用について、補助が実施されています。しかしこれは、20 床以上の病院を対象としたものです。診療所については現段階では、「未導入の診療所に対して標準型電子カルテを普及する」とされ、国は必要な支援策を検討し、「遅くとも2030 年までに概ねすべての医療機関での導入を目指す」との方針を示しています。今後の動向にも注目していきたいと思います。
医療関連職種別の初任給
企業の賃上げの動きは、初任給にも影響を与えています。ここでは昨年11 月に人事院から発表された調査結果※などから、医師や看護師などの初任給に関するデータをご紹介します。
一部を除いて前年より増加
一部を除いて前年より増加上記調査結果などから、医療関連職種における直近5 年間の初任給の推移をまとめると、下のとおりです。
●医師は40 万~45 万円台で推移しています。2023 年は40.4 万円と直近5 年間では最も低い額でしたが、2024 年には前年比11.3%増の45.0 万円と、5 年間の最高額になりました。
●看護師は20 万~21 万円台で推移しており、紹介した職種の中で唯一、毎年初任給が増加しています。2024 年は21.9 万円となり、22 万円台が目前になりました。
●准看護師は17 万~18 万円台で推移しています。2023 年以降は18 万円台となり、2024 年
には5 年間で最も高い18.4 万円に達しました。
●薬剤師は22 万~24 万円で推移しています。2024 年には、前年比6.1%増の24.5 万円になりました。
●診療放射線技師は19 万~21 万円台で推移しています。2023 年には21.1 万円で最も高くなりましたが、2024 年は20 万円を割り込みました。
●栄養士大学卒は18 万~19 万円で推移しています。2023 年以降は19 万円台になり、2024年も増加しています。
●栄養士短大卒は16 万~18 万円台で推移しています。調査対象事業所数が少ない年が多いものの、2023 年以降は増加を続け、2024 年には前年比14.0%増の18 万円台に達しました。
診療放射線技師を除くすべての職種で、2024 年の初任給が最も高くなっており、地域別最低賃金の引き上げが続く中、初任給も引き上げが進んでいることがうかがえます。
人材採用にあたり、賃金は重要な要素となります。賃上げを持続できるよう、生産性の向上などに務めていく必要があります。
医療機関でみられる人事労務Q&A
『所定労働時間6 時間以内のパート職員に対する休憩時間』
Q:当院は、所定労働時間5 時間30 分のパート職員の求人募集を検討しています。正職員よりも所定労働時間が短い場合、休憩時間がなくてもよいと聞きました。残業が発生する可能性もあるのですが、休憩時間についてどのように考えておくとよいのでしょうか?
A:労働契約上の所定労働時間が6 時間以下であったとしても、残業時間を含めた実際の労働時間が6 時間を超えた場合、医院はパート職員に対して、労働時間の途中で少なくとも45 分の休憩時間を与えなければなりません。
詳細解説:
1.休憩時間とは
労働基準法第34 条では、使用者は、労働時間が6 時間を超える場合は少なくとも45分、8 時間を超える場合は少なくとも1 時間の休憩時間を労働時間の途中で与えなければならないと定めています。また、休憩時間はすべての職員に対し一斉に与えることが原則ですが、仕事の性質上、一斉に与えることが難しいとされる医院などの保健衛生業については、交代で休
憩を与えることが認められています。
2.実務上の対応
今回のように、所定労働時間が6 時間以内の場合、あらかじめ休憩時間を設けなくても違法にはなりません。ただし、所定労働時間5時間30 分のパート職員が残業となる都度、労働時間の途中で休憩を与えることは現実的ではなく、休憩をまったく取らずに働き続けることは、集中力が切れてミスを誘発する原因となります。その他、一斉に休憩をしている職場で、正職員が休憩をする中、パート職員が業務をしているということも考えづらいかもしれません。
これ以外に考えなければならない点として、休憩時間を設けることで必然的に拘束時間が長くなるという課題があります。パート職員の中には、育児や家族の介護に伴い、限られた時間の中で密度濃く働きたいという要望もあるでしょう。これらを踏まえ、例えば、所定労働時間が4 時間以内の場合には休憩時間を設けないとする、実労働時間が確実に6 時間以内で終わる日については、上長にあらかじめ指示を受けることで休憩時間を設けずに働くことができるといった、柔軟な対応を検討す
ることはできるのではないでしょうか。
休憩時間は、職員が労働から解放され自由に利用できる時間ですが、疲労を回復させ、業務の効率化やミスの発生リスクを減らすことも目的としています。その目的も踏まえた休憩時間の設定や運用を考える必要があります。
今月の接遇ワンポイント情報
『目標達成のポイント』
定めた目標を達成するには、まず行動することが大切です。
また、行動する際には、心の根底に“達成できるイメージ”を強く持つことも大切です。マギさんのように“どうせ今回も無理”と思っていると、行動したとしても未達成の可能性が高くなります。このような実行(行動)の他、次の検証(確認)、修正(改善)なども目標達成のためのポイントとなります。
検証(確認)
☑ 実行の経過を確認し、上手くいっているか、そうでないかをつかみます
修正(改善)
☑ 上手くいっていなければ、方法(やり方)を修正します
☑ 上手くいっている人は、より上手くいくように行動を修正します
☑ 行動が継続できない人は、他者のサポートを得るようにしましょう
一つの目標を達成したら、もう一段上へ進むための目標設定をしましょう。ここまでお伝えした流れは、一般的にPDCA サイクルと呼ばれているものです。
「Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(修正)」
これらを繰り返し、継続し続けることによって、目標達成力が高まり、最終的に夢が叶います。併せて、なりたい自分にもなれます。
スタッフ全員で目標達成力を高めましょう。