医療機関版ニュースレター2025年4月号
2025.03.27 ニュースレター経営情報>>ニュースペーパーはこちらからダウンロードできます
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DX 推進の評価、4 月から更に細分化
経過措置期間が終わり、4 月より電子処方箋の発行体制が要件とされていた医療DX 推進体制整備加算と在宅医療DX 情報活用加算について、医科と歯科においては、体制が整備されていない場合でも算定できるよう、見直しが行われます。
電子処方箋、発行体制の有無で点数に差
今回見直されるのは、次の評価です。
- ① 医療DX 推進体制整備加算
- ② 医療DX 推進体制整備加算(歯科)
- ③ 医療DX 推進体制整備加算(調剤)
- ④ 在宅医療DX 情報活用加算
- ⑤ 在宅医療DX 情報活用加算(歯科訪問診療料)
このうち①②④には「電子処方箋を発行する体制を有していること」、③には「電磁的記録をもって作成された処方箋を受け付ける体制を有していること」との施設基準があり、今年3 月末までの経過措置が設けられています。
この経過措置の終了が目前となり、電子処方箋の普及が進んでいない現状を踏まえ、今回の見直しが行われることになりました。医療DX 推進体制整備加算は、3 段構えとなった昨年10 月の見直しに次ぐ、2 度目の見直しです。
医科の評価と歯科の評価
4 月以降、電子処方箋の発行体制の有無により、点数に2 点の差が設けられます。これにより、点数は減るものの、体制なしでも引き続き算定することができます。
調剤の評価
一方、③については、点数が2~3 点増え、施設基準の取扱いに変更はありません。経過措置が終了した4 月以降は、「電磁的記録をもって作成された処方箋を受け付ける体制を有していること」が求められます。
診療科目別にみる一般診療所の施設数
ここでは、2024 年11 月に発表された調査結果から、診療科目別に一般診療所の施設数をみていきます。
内科が全体の6 割を占める
上記調査結果によると、全国の2023 年の一般診療所(以下、診療所)は104,894 施設となりました。2014 年に10 万施設を超えてからも、増加を続けています。
診療科目別に診療所施設数の推移をまとめると、下表のとおりです。施設数が最も多いのが内科で、2023 年は64,747 施設でした。診療所総数の61.7%を占めています。以下、小児科、消化器内科(胃腸内科)、皮膚科、循環器内科、整形外科、外科、リハビリテーション科が1 万施設を超えています。
診療科目別の増減数と増減率
2020 年から2023 年の増減数では、皮膚科、美容外科、内科、精神科が500 施設以上の増加となりました。反対に、小児科が1,000 施設以上、消化器内科(胃腸内科)、外科、リハビリテーション科が500 施設以上の減少です。
増減率では、美容外科が43.6%の増加と高い伸びをみせています。減少では、気管食道外科が20%以上のマイナスとなりました。
次回の調査結果では、どのような変化がみられるでしょうか。
医療機関でみられる人事労務Q&A
『就業規則変更手続きに必要な職員代表の適正な選出方法』
Q:当院では、今年の4 月1 日より就業規則を変更します。先日、時間外・休日労働に関する協定(以下、36 協定)を締結する際に職員代表を選出したことから、今回、就業規則を労働基準監督署へ届出する際も、その職員代表に就業規則の変更に関する意見を聴こうと考えています。この対応について問題があるでしょうか?
A:事業場の労働者の過半数を代表する者(以下、職員代表)の選出は、原則、労使協定の締結や就業規則の作成・変更の都度、行う必要があります。
なお、適正な手続きを行った結果として、引き続き同じ職員が職員代表として選出されることは問題ありません。
詳細解説
1.職員代表とは
労働関係法令の手続き上、その事業場に職員の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合(過半数労働組合)、過半数労働組合がない場合は、職員の過半数で選出した職員代表と労使協定を締結する場面があります。
また、就業規則の作成や変更をする場合にも、過半数労働組合や職員代表の意見を聴かなければなりません。職員代表を選出する際には、正職員のみでなく、その事業場で働くパート職員、嘱託職員、育児・介護休業中や休職中の職員も含むすべての職員の過半数が支持していることが求められます。ここには経営者と一体的な立場にある管理監督者も含まれますが、職員代表となることはできません。
2.職員代表の選出方法
職員代表の選出は、投票、挙手、職員の話し合いや持ち回り決議など、職員の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続きにより行うことが必要です。
例えば、朝礼やミーティングなど職員が集まる機会を利用して、挙手により職員代表として信任するといった、職員の意思を確認する方法で選出することが考えられます。
なお、医院が特定の職員を指名し、職員代表に決定することはできません。この場合、締結した労使協定は無効になることもあります。
職員代表は、36 協定の締結や就業規則の作成・変更に係る意見を聴取するため等、目的を明示し、その都度、選出することが原則です。そのため、一度選出された職員代表が永続的に職員代表であり続けるわけではありません。この際、結果として、引き続き同じ職員が職員代表として選出されることは問題ありません。
職員代表の選出が適正に実施されず、形式的なやり取りとなっている医院も多くみられます。まずは、職員代表の役割を職員に説明し、医院が指名できるものではないことを伝え、職員間で正しい選出ができるように促す必要があります。
事例で学ぶ今月の接遇ワンポイント情報
『存在を忘れる』
今回の事例は、患者様の姿が見えないためにうかつに口にした言葉が、実は患者様に聞こえていた、というものです。気まずい雰囲気になったということは、患者様はマギさ
んの言葉に寂しい思いをしたり、傷ついたりしたということなのでしょう。
常に患者様の存在を考えて、行動できているでしょうか。
今回のような事例は、スタッフが、心の中で患者様の存在を忘れた瞬間に起こります。このようなことは、患者様にとって、とても寂しく・不快な出来事です。
相手を尊重するということは、言葉の遣い方だけではなく、スタッフの心の中に相手を気にかける気持ちがあるかどうか、ということも影響するのです。
いつ、どのような時にも、心の中に患者様の存在を意識して対応をしましょう。