福祉施設版ニュースレター2025年2月号
2025.01.22 ニュースレター人事労務(採用)経営情報【主な内容】
◆来年度の介護政策はどうなる?
◆福祉施設等における若年労働者の雇用状況
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来年度の介護政策はどうなる?
2024 年 11 月に財務省の財政制度等審議会が発表した「秋の建議」の中で、介護政策の改革の方向性を提言しています。来年度以降の経営環境を占う一つの道標として、今回はこの建議に注目します。
秋の建議が示した「改革の方向性」案
★訪問介護事業者への対応
提言:引き続き処遇改善加算の確実な取得を促しつつ、人手不足に対しては現場のニーズ等を踏まえた人材確保策を推進すべき。
★ ICT 機器の活用・人員配置の効率化等
提言:ICT 機器の導入・活用を引き続き推進するとともに、経営の協働化・大規模化を早急に進めるべき。あわせて、特養等における人員配置基準の更なる柔軟化に引き続き取り組むべき。
★多床室の室料負担の見直し
提言:介護老人保健施設・介護医療院についても、多床室の室料相当額を基本サービス費等から除外する見直しを更に行うべき。
★サ高住等における居宅療養管理指導の適正化
提言:介護老人保健施設・介護医療院についても、多床室の室料相当額を基本サービス費等から除外する見直しを更に行うべき。
★人材紹介会社の規制強化
★軽度者に対する生活援助サービス等の地域支援事業への移行
★ケアマネジメントの利用者負担の導入
★保険外サービスの活用
★介護保険の利用者負担(2 割負担)の見直し
今回の提言には、介護給付費分科会等でのこれまでの議論も反映されています。
経営への影響が大きいと予想されるものも多く含まれていますが、どの政策が最終的に導入され、どれが見送られるのでしょうか。今後の情勢や審議の動向に注目が必要です。
福祉施設等における若年労働者の雇用状況
ここでは 2024 年 9 月に、5 年ぶりに発表された調査結果※などから、福祉施設等(以下、医療,福祉)における若年労働者の雇用状況などをみていきます。
若年労働者がいる事業所は 7 割
2023 年の若年労働者がいる医療,福祉の事業所割合は 71.5%で、2018 年から 2.2 ポイント増加しました。ただし 2013 年よりは低い状況が続いています。なお、2023 年の全体の調査結果をみると、若年労働者がいる事業所割合は 73.6%で、2018年より 2.4 ポイント減少しています。
医療,福祉は全体の調査結果と比べると、若年労働者がいる事業所割合が低いことがわかります。
若年労働者の定着に効果のある対策
事業を長期的に継続していくには、若年労働者の採用・定着が重要です。
上記調査結果から、若年労働者がいる医療,福祉の事業所のうち、若年労働者の定着のための対策を実施している割合をみると、70%を超えています。
若年正社員の定着に最も効果のある対策は、職場での意思疎通の向上とする事業所が23.6%で最も多くなりました。次いで、本人の能力・適性にあった配置が 15.4%、採用前の詳細な説明・情報提供が 12.7%となっています。正社員以外の若年労働者では、職場での意思疎通の向上が 22.1%、仕事と家庭の両立支援が 19.2%などとなりました。
上記以外の対策では、労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励も若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに 10%を超えています。
少子化の進展等により若年労働者は今後も減少を続けます。人材不足への対応として、高齢者などの採用もさらに進める必要があるでしょう。幅広い年代の労働者に定着してもらうためには、働きやすい環境を整えていくことが今後も重要になるといえます。