医療機関版ニュースレター2025年2月号
2025.01.21 ニュースレター人事労務(採用)【主な内容】
◆かかりつけ医機能報告制度、4 月に施行
◆一般診療所における在宅医療サービスの実施状況
◆医療機関でみられる人事労務Q&A 『マイカーによる通勤途中の事故と医院の責任』
◆今月の接遇ワンポイント情報『目標設定のポイント』
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かかりつけ医機能報告制度、4 月に施行
2025 年 4 月から、「かかりつけ医機能報告制度」が始まります。患者が適切に医療機関を選択できるよう、医療機関に対し専門性等の情報提供を求める制度です。初回報告は、2026 年 1 月~3 月に予定されています。
対象は、病院・診療所(特定機能病院・歯科医療機関を除く)です。無床診療所も含まれます。
★1 号機能報告
医療機関が対応できる診療内容や疾患を報告します。これにより、患者は診療科だけでなく、傷病名からも医療機関を探せるようになります。報告事項は以下になります。
◎具体的な機能を有すること及び報告事項について、院内掲示していること
◎かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無
◎17 の診療領域※1ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域の一次診療ができること
◎一次診療を行うことができる疾患※2
◎患者からの医療の相談に応じることができること
この 1 号機能ですべての報告事項が「可」の場合は、「1 号機能を有する医療機関」として、次の 2 号機能報告を行います。
★2 号機能報告
2 号機能報告では、どのような連携体制を備えているか等を報告します。具体的には次の 4項目について、自院の独自体制や他院等との連携による体制の確保状況、関連した診療報酬の算定状況等を報告することになります。
◎通常の診療時間外の診療
◎入退院時の支援
◎在宅医療の提供
◎介護サービス等と連携した医療提供
また、その他の報告事項として、健診、予防接種、地域活動、教育活動等があります。詳細や最新情報は、厚生労働省のホームページ等でご確認ください。
一般診療所における在宅医療サービスの実施状況
★医療保険等によるサービスは減少
診療所におけるサービス実施状況の推移をまとめると、
2023 年時点における全国の診療所数は104,894 施設で、2020 年から 2,282 施設増加しました。そのうち、医療保険等による在宅サービスを実施している診療所は 32,582 施設で、診療所全体の 31.1%を占めています。ただし、2020 年から 2,631 施設、率にして 7.5%減少しました。
サービスの種類別では、在宅患者訪問診療が最も多く 18,906 施設、次いで往診が 17,631施設、訪問看護ステーションへの指示書の交付が 15,735 施設と 1 万施設を超えました。ただし、いずれも 2020 年から減少しています。
★介護保険によるサービスも減少
次に介護保険による在宅サービスを実施している診療所数は 10,702 施設で、診療所全体の 10.2%となっています。2020 年からは 240施設の減少です。サービスの種類別では、居宅療養管理指導(介護予防サービスを含む)が7,599 施設で最も多い状況です。
このようにサービスを行う診療所の数は、医療保険等によるサービス、介護保険によるサービスともに減少しています。新型コロナウイルス感染症の影響や人材不足などにより、サービスの継続が困難になった診療所があったことなどが要因と思われます。
医療機関でみられる人事労務Q&A
『マイカーによる通勤途中の事故と医院の責任』
当院は、公共交通機関では通勤が不便な場所にあるため、マイカーによる通勤を認めています。
今朝、職員が通勤途中で前方の車に衝突する事故を起こしました。幸い被害者も職員本人にも怪我はなかったのですが、職員がこのような事故を起こした場合、医院も責任を問われるのでしょうか?
職員が通勤に利用しているマイカーによる事故を起こした場合、基本的には、その職員が被害者へ補償を行うことになります。
しかし、大きな事故を起こして、賠償金額が高額になるなど、職員だけでは補償しきれないケースでは、使用者である医院にも責任が及ぶ可能性があります。
職員が通勤に利用しているマイカーによる事故を起こした場合、使用者である医院は、民法上の使用者責任と、自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任を負うことになります。裁判例では、この 2 つの責任について、マイカーをどの程度医院のために使用していたかで、医院に責任が及ぶ範囲が判断されています。
一般的に、マイカーを通勤のみに限定し、業務での使用を許可していない場合、原則として医院は職員のマイカーによる事故に関して責任を負いません。
一方、通勤のみでなく、業務での使用を許可している場合、医院も一定の責任を負うことになります。
2.マイカー通勤の許可基準の設定
マイカーが通勤のみの使用となっていたとしても、職員が大きな事故を起こして、職員だけでは補償しきれないときには、医院に対して損害賠償請求がなされることがあります。特に適切な任意保険に加入していないときは、職員だけでの補償が難しくなることがあるため、医院におけるマイカー通勤の許可基準を就業規則などで明確にすることが必要です。
例えば、任意保険の対人・対物賠償は無制限とし、補償が必要となった際に対応できるような許可基準とすることなどが考えられます。
また、マイカー通勤を許可する際に、運転免許証や任意保険の加入を確認していたとしても、任意保険が失効しているなどのケースも考えられるため、年 1 回など定期的にこれらを確認することも必要です。
今月の接遇ワンポイント情報『目標設定のポイント』
①他者から見ても分かるように具体的な内容にする
評価のできないものは、検討修正ができないからです
×: 「△△を頑張る」「患者様に優しく接する」
〇:「毎日、花の水やりをする」「患者様の目を見て、笑顔で挨拶をする」
②必ず期日を設ける
期日のないものは、希望で終わるからです。設定する段階から、叶わ
なくてもいいだろうという心理が働いてしまうのです
×: 「いつか△△ができるといいなぁ」
〇:「年末までに、△△をする」
③自分自身でコントロールできることに限る
自分がコントロールできるのは、自分のことだけだからです
×: 「月末までに、新人さんに△△をしてもらう」
〇:「月末までに新人さんが△△できるように、毎日帰りに確認を
行う」
これら 3 つのポイントを踏まえながら、最終目標に向かうための小さなステップを、当面の目標(経過目標)として定めていくとよいでしょう。
一歩ずつ階段を上るようなイメージを持ちましょう♪