中小企業の株価評価が厳格化される?
2024.11.22 税務情報経営情報会計検査院が11月6日公表した「令和5年度決算検査報告」によると、相続等で取得した取引相場のない株式の評価方法が検査対象となり、類似業種比準方式の評価額が検査対象となり、類似業種比準方式の評価額は純資産価格方式の評価額比べ相当程度低く算定されている旨の指摘があったようです。
特に、評価会社の規模が大きい区分ほど評価額は低く算定される傾向にあるなどして、国税庁に対し取引相場のない株式の評価方法の検討が肝要と結論付けており、今後の当局の動きが注目されます。
会計検査院が今月11月に公表した
「令和5年度決算検査報告 令和5年度決算検査報告の特徴的な案件」
をご紹介します。
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/tokutyou05.html
その中でも、以下に着目してください。
Ⅴ 制度・事業の効果等に関するもの
13 相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary05/pdf/fy05_tokutyou_13.pdf
大きな指摘としては以下が挙げられます。
1.類似業種比準価額における現行の評価上の問題点
2.配当還元価額における現行の評価上の問題点
以下、確認をしていきます。
1.類似業種比準価額における現行の評価上の問題点
★類似業種比準価額が純資産価額と比べて低くなる要因
→昭和39年評価通達制定当時の規定との比較
要因1 類似業種比準価額の計算式等に係る評価通達の改正の影響
(1)類似業種の株価の選択に当たっての業種目及び対象期間の範囲を広げる改正
→小分類・中分類のみ&贈与相続月の類似業種の株価のみ
(2)評価会社の1株当たりの利益金額の選択に当たっての対象時期の範囲を広げる改正
→直前期単年度の利益金額のみ使用
要因2 類似業種比準価額の計算式における配当金額の影響
→中小企業の大半は無配当である状況から比準要素として不適格
2.配当還元価額における現行の評価上の問題点
→配当還元率10%は、昭和39年の評価通達設定当時の金利等を参考にしており、現在の金利水準が長期的に低下している現状で見直されていないのは問題
株価評価額などを基に、株式贈与や売買金額の計算をしている場合、今後これまでの評価額よりも大幅に高い評価額になることも予想されます。
今後の税制改正等にもこれらの動きが反映されてくることも大いに考えられます。
今後の動きについては、引き続き都度お知らせしていきますが、ご興味ある方は、個別に白川事務所までご相談ください。