同族企業間での不動産取引は要注意!
2026.06.08 税務情報同族企業間での土地売買は、「その価格に合理性があるか」が最重要ポイントです。
同族関係者間での取引は、第三者間取引と比べて恣意的に価格を操作できるため、法人税・所得税・贈与税まで含めて非常に厳しく見られます。そのため、慎重に対応することが重要です。
特に問題になりやすいケースは以下の通りです。
・安すぎる価格 → 「寄附」「利益供与」
・高すぎる価格 → 「利益移転」「役員賞与」
・根拠不明 → 「時価否認」
1 基本原則:「時価」で取引する
法人税法上、同族会社間の取引は、形式より実質で判断されます。
つまり、「第三者間なら、その価格で本当に取引したか?」が基準になります。
そのため、土地売買価格は原則として「時価」を基準に設定します。
時価を算出する基準としては下記のものがあります。
①路線価(相続税評価額)
一般に時価の80%と言われます(評価額800万→時価1000万?)
時価との乖離がある場合があるので、これだけを鵜呑みにするのは危険です
②固定資産税評価額
一般に時価の70%と言われます(評価額700万→時価1000万?)
時価との乖離がある場合があるので、これだけを鵜呑みにするのは危険です
③公示地価(国交省)
公的機関から発表された補助的参考値
④基準地価(都道府県)
公的機関から発表された補助的参考値
⑤不動産鑑定評価(鑑定士評価額)
第三者機関からの評価額としてある一定の根拠となりうるが、
ある程度恣意的に操作できうるため、これだけを鵜呑みにするのは危険です
⑥実勢価格(実際の市場価格)
近隣の売買事例を参考にする、また
不動産業者査定をとり参考値とすることも有効です。
実務では、不動産会社2〜3社からの見積もり(査定書)を取得し、
その平均値を参考値として採用することが多いです。
査定額が極端にブレる場合は注意が必要です。
これも恣意的操作が可能なので、これだけを鵜呑みにするのは危険です。
実務上は、上記①~⑥の数値を総合的に勘案して決定します。
①~⑥の数値であまりに乖離がある場合は、慎重に金額を査定する必要があります。
2 土地売却損を損金とできるか?
特に注意が必要なケースは、以下のパターンです。
・法人→同族関係者個人(同側関係者個人→法人)への売却
・グループ会社間での売却
★100%グループ法人間での土地譲渡に該当する場合、法人税上は「グループ法人税制」の対象となります。そのため、売却会社側で発生する土地売却損については、原則として直ちに損金算入されず、繰延べとなります(※平成22年10月1日以後に行われる譲渡損益調整資産の譲渡について適用)
具体的には、法人税法上の「譲渡損益調整資産」に該当する場合、譲渡損益は一旦繰延べられ、その後、
・第三者へ再売却した場合
・減価償却
・除却 等
一定の事由が生じた際に実現する取扱いとなります。
土地は減価償却資産ではありませんので、第三者への売却等がない限り、繰延状態が継続するケースが一般的です。
このようなケースの売却損については、
「会計上は損失計上されるが、税務上は別表調整により加算(損金不算入)」
となる可能性が高いと考えられます。
3 例外【譲渡直前の帳簿価額1,000万円未満】
★例外:ただし、譲渡直前の土地の帳簿価額が1,000万円未満であれば「譲渡損益調整資産」からは除外されますので、上記の限りではありません。
第三者から取得した土地であり、実態として高値取得であった経緯が確認できるのであれば、基本的には帳簿価額と売却価額との差額は譲渡損失として処理する方向になると思われます。
【参考:国税庁】
通算グループ内の法人の間の取引の損益調整(グループ法人税制:譲渡損益調整資産)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/46.htm
〇その他、「帳簿価額が1,000万円未満は除外」の実務重要論点
・1000万円未満は、「時価」ではなく「帳簿価額」
・土地の判定単位に注意(土地一筆ごとではなく、一体利用されている一団の土地まとめて判定される)
4 保存しておくべき書類について
売買契約書はもちろん必要ですが、それ以上に、上記に示した時価の算出根拠について、できるだけ多く説明資料として保存しておく必要があります。
税務調査においては、これらの資料を基に判断されます。
なぜこの土地を売買する必要があったのか?
その経済的合理性(単なる節税目的ではないことを証明する)を説明できる資料を準備しておくことが重要です。
さいごに
同族企業間での取引については、思わぬ落とし穴があるケースが多く、安易にすすめずに、必ずグループ法人税制に詳しい税理士に相談することが大切です。
ご不安のある方は、ぜひ一度幣事務所へお問い合わせください。

