経営者が押さえておくべき税制情報 (2024年9月のまとめ)
2024.10.03 税務情報今回は、最新の税務情報や税制改正項目のうち、企業経営者に重要なトピックについてご紹介します。
税制情報トピック1
経産省の税制改正要望の目玉は「中小企業経営強化税制」8月30日、経済産業省は「令和7年度税制改正要望」を公表しました。
主な要望項目は、次のとおりです。
<減税措置>
・中小企業経営強化税制の拡充と延長
・中小企業投資促進税制の延長
・中小企業防災・減災投資促進税制の延長
・中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置の延長
・中小企業者等の法人税率の特例の延長
・事業承継税制の見直し(特に役員就任要件)
・地域未来投資促進税制の拡充と延長
・産業用地整備促進税制の創設
・エンジェル税制の拡充
・中小企業経営強化税制の拡充と延長
・中小企業投資促進税制の延長
・中小企業防災・減災投資促進税制の延長
・中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置の延長
・中小企業者等の法人税率の特例の延長
・事業承継税制の見直し(特に役員就任要件)
・地域未来投資促進税制の拡充と延長
・産業用地整備促進税制の創設
・エンジェル税制の拡充
今回、経産省では「中小企業経営強化税制」が要望の1番目に挙げられました。
「成長志向の高い中小企業」をさらに後押しし、「売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)」の創出を推進するため、上乗せ措置の創設が要望されています。
▼詳しくはこちらから
「令和7年度 税制改正に関する経済産業省要望のポイント」
「令和7年度 税制改正に関する経済産業省要望の概要」
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/index.html
税制情報トピック2
中小企業における「インボイス制度の実態調査」が公表9月9日、日本商工会議所と東京商工会議所は、「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」を公表しました。
各地の商工会議所の会員企業に対する調査結果(3,149者から回答)でインボイス制度などの実態を見ることができます。
例えばインボイス制度では、
・インボイス制度導入を機に、免税事業者(BtoB中心)の「73.3%」がインボイス登録を実施
・インボイス登録しなかった免税事業者(BtoB中心)のうち、「64.0%」が今後の登録を検討
・インボイス制度導入を機に、免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者のうち
「54.9%」が減収。価格交渉を行った事業者は「14.4%」で、そのうち値上げを実現した事業者は約6割(60.9%)
・インボイス登録しなかった免税事業者(BtoB中心)のうち、「64.0%」が今後の登録を検討
・インボイス制度導入を機に、免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者のうち
「54.9%」が減収。価格交渉を行った事業者は「14.4%」で、そのうち値上げを実現した事業者は約6割(60.9%)
といった結果が出ています。
▼詳しくはこちらから
日本商工会議所等
「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」
https://www.jcci.or.jp/news/news/2024/0909113000.html
税制情報トピック3
「中小企業向け賃上げ促進税制」のガイドラインとQ&Aが公表9月20日、中小企業庁は次の2つを公表しました。
▼【PDF】中小企業向け賃上げ促進税制 ご利用ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin06gudebook.pdf
▼【PDF】中小企業向け賃上げ促進税制 よくあるご質問 Q&A
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin06qa.pdf
令和6年度税制改正では、中小企業限定で「繰越控除措置」が創設されました。
賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額があるときは「5年間の繰越し」をし、翌年度以降に控除が可能になる制度です。
「赤字の年度」でも将来減税できる可能性があるため、賃上げの際にはあらかじめご相談しながら実施していただきたいと思います。
最後に
9月27日の自民党総裁選挙を経て、新しい首相のもとで令和7年度税制改正の議論が行われます。3年前の令和3年も9月の自民党総裁選で岸田氏が自民党総裁に選出され、10月31日に衆議院議員選挙が行われました。
それでも令和4年度税制改正の議論は例年どおりのペースで進み、12月10日に大綱が公表されています。
今回もおそらく12月中旬に向けて税制改正の議論が行われると予想されますが、引き続き、税制改正の最新情報をお届けします。