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経営者の子供にアルバイト代を支払った場合、会社の経費とできるか?

2026.06.24 税務情報

結論から言うと、法人の場合であれば、勤務実態があり、他のアルバイトと同様の給与体系・条件であれば問題ありません。

一方、個人事業の場合は、要注意事項がありますので、別途解説します。

税務上特に注意すべき点を下記まとめます。

1 税務上は「本当に働いているか」が最重要

代表者の子供であっても、実際に飲食店で働き、勤務実態があり、給与額が他の一般のアルバイトと同程度であれば、会社の損金にできます。
ただし、同族会社では親族給与が税務調査で見られやすいため、次の資料を必ず残してください。

* 雇用契約書・働条件通知書
* タイムカード・勤怠アプリ記録
* シフト表
* 業務内容の記録
* 給与計算明細
* 銀行振込記録
* 他のアルバイトと同じ時給水準である根拠

「手伝ったことにして毎月5万円」などは危険です。
実態が薄いと判断された場合、
給与ではなく、役員・代表者への利益供与、または寄附金・役員給与的なものとして否認される可能性があります。

2 高すぎる時給は避ける

経営者の子供に、他のアルバイトより明らかに高い時給を払うのは危険です。
例えば、通常のアルバイトが時給1,100円前後なのに、代表者の子供だけ時給2,500円、3,000円とすると、税務上「労務の対価として不相当に高い」と見られやすくなります。
安全なのは、同店舗・同業務・同じ時間帯の一般アルバイトと同程度とすることです。

3 子供を「経営に関与」させない

経営者の子供を単なるアルバイトとして扱うなら、業務は接客、ホール、洗い場、清掃、仕込み補助、レジ補助など、通常のアルバイト業務に限定するのが無難です。
逆に、次のようなことをさせると危険です。
* 売上管理
* 仕入先との交渉
* 採用面接
* 店舗運営方針の決定
* 現金管理
* 役員会・経営会議への参加

同族会社では、親族が実質的に経営に従事していると「みなし役員」と判断される余地があります。
国税庁も、同族会社の使用人であっても一定要件を満たし経営に従事する者は役員に含まれるとしています。
学生アルバイトの場合は通常そこまで問題になりにくいですが、税務調査対策としては「単なるアルバイト」に徹底すべきです。

4 個人事業の場合は要注意!

上記の「法人」の場合とは違い、
個人事業では、代表者の子供への給与は「必要経費にできるか」が法人よりかなり厳しく、特に生計一親族かどうかが分岐点になります。
事業主と生計を一にする子供へ支払うアルバイト代は、原則として必要経費になりません。

①生計一か、別生計かで扱いが違う

生計を一にする子供の場合:
・学生の子供が同居している
・生活費を親が負担している
・扶養に入っている
という通常のケースでは「生計を一にする親族」です。
この場合、たとえ実際に飲食店で働いていても、普通のアルバイト代として必要経費にすることは原則できません。
経費にしたい場合は、次の特例を検討します。

②青色申告の届出を提出し、「青色事業専従者給与」として支給する

青色申告の場合、要件を満たせば、子供への給与を必要経費にできます。
主な要件は次のとおりです。

・事業主と生計を一にする親族である
・その年12月31日時点で15歳以上
その年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事している
・「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限までに提出している
・支給額が労務内容に照らして相当である

国税庁も、青色事業専従者給与・白色事業専従者控除について、15歳以上、6か月超の専従などを要件としています。

ただし、高校生の場合はここが問題です。
学校に通っている高校生は、通常「事業に専ら従事」とは言いにくいです。
放課後や土日だけのアルバイトであれば、青色事業専従者給与として経費にするのはかなり慎重に考えるべきです。

③白色申告なら「事業専従者控除」

白色申告の場合は、実際に払った給与をそのまま経費にするのではなく、一定額の「事業専従者控除」です。子供の場合は、原則として上限50万円です。国税庁は、配偶者以外の事業専従者は50万円などの控除額を定めています。ただし、こちらも「6か月超、専ら従事」が必要なので、高校生の放課後アルバイトでは使いにくいです。

④別生計の子供なら通常のアルバイト給与も可能

子供が別居しており、生活費も独立していて、親と生計を一にしていない場合は、通常の従業員給与として必要経費にできる余地があります。
ただし、高校生の場合は多くが親の扶養・同一生計なので、実務上は別生計と説明するのは難しいケースが多いです。

⑤「扶養控除」との関係に注意

青色事業専従者給与を受ける人、または白色申告の事業専従者になる人は、控除対象扶養親族になれません。
国税庁の確定申告書作成コーナーでも、青色事業専従者給与を受ける人や白色事業専従者は、扶養親族になれないとされています。
つまり、子供を専従者扱いにすると、親の扶養控除が使えなくなる可能性が高いということです。
高校生の子供の場合、アルバイト代を経費化するメリットより、扶養控除を失うデメリットの方が大きいことがあります。

⑥税務調査で見られるポイント

仮に給与・専従者給与として処理するのであれば、最低限これらを残してください。
・勤務表
・タイムカード
・シフト表
・業務内容の記録
・給与明細
・本人名義口座への振込記録
・他のアルバイトと同水準の時給である資料

特に危険なのは、
・実際はほとんど働いていない
・毎月定額で払っているだけ
・現金手渡し
・親が子供名義口座を管理している
・他のアルバイトより高すぎる時給
・勤怠記録がない
というケースです。

⑦労務面での注意点

高校生、特に18歳未満の場合は、労働基準法上の制限があります。
特に飲食店では次に注意してください。

・18歳未満は原則、午後10時から午前5時まで働かせられない
・原則、時間外・休日労働に制限がある
・労働条件通知書を交付する
・年齢証明書等を備え付ける
・危険・有害業務をさせない
・6時間超勤務なら45分以上、8時間超勤務なら1時間以上の休憩を取らせる

厚労省も、高校生等の18歳未満について、午後10時から午前5時までの深夜労働を原則禁止し、労働条件の明示や年齢証明書等の備付けを求めています。

⑧実務上の結論

個人事業の飲食店で、事業主の高校生の子供が手伝う場合は、原則として次の整理が安全です。

・放課後・土日だけ少し手伝う程度
→ 生計一親族なら、通常のアルバイト給与として必要経費にしない方が安全。

・長期休暇などを含めて相当程度働く
→ それでも高校生は「専ら従事」の要件が問題になりやすい。青色事業専従者給与・白色事業専従者控除の適用は慎重判断。

・卒業後に本格的に店で働く
→ 青色事業専従者給与の届出を出し、勤務実態・給与相当性を整えれば、経費化を検討しやすい。

一番安全な考え方は、高校生のうちは「家業の手伝い」として扱い、給与を必要経費にする処理は慎重にすることです。
特に同居・扶養中の子供へのアルバイト代を、普通の従業員給与として経費処理するのは避けた方がよいです。

さいごに

経営者の子供に給与を支払うことは、税務上様々な制約があるので、慎重に行いましょう。
個別の前提状態によっても、判断するポイントが違ってきますので、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。