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「相続税・贈与税の一体化」~自民党税調会長インタビュー~

2022.03.27 税務情報

令和3年度の自民党税制改正大綱に示された「相続税と贈与税の一体化課税制度」が、資産家の間で大いに話題となりました。

相続税と贈与税の一体化とは、『相続で財産を渡しても、贈与で財産を渡しても、かかる税金を同じにする』という主旨です。

現在は、年間110万までなら贈与税が非課税とされています。
しかし、相続税・贈与税の一体化がされると、これまでのように毎年110万づつ子や孫に贈与していくといった暦年贈与ができなくなります。

具体的な改正の明示はなかったものの、近い将来、相続税・贈与税の一体化に踏み切る姿勢にあるのは間違いない!ということで、マスコミが一斉に「暦年贈与ができなくなる!」と書き立てました。幣事務所でも、資産家のお客様を中心に大きな関心が寄せられていました。

ところが、令和4年度の税制改正大綱においては、引き続き検討していくという文言にとどまり、具体的な改正の明示はありませんでした。

~令和4年度税制改正大綱本文より~

 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。
 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。
 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。
 わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。
 今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では、家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
令和4年度税制改正大綱リンクはこちら

宮沢洋一自民党税調会長へのインタビュー

そして、最近の専門誌における、宮沢洋一自民党税調会長へのインタビューにて、この相続税と贈与税の一体化についても触れられていますので、ご紹介したいと思います。

【週間税務通信(No.3696)宮沢洋一自民党税調会長に聞く:令和4年度税制改正と次の改正への展望】より

Q:資産課税では,相続税・贈与税の一体化が行われるのではないかと大きな注目が集まっていました。

A:宮沢洋一自民党税調会長の答え
 私も地元の税理士さんなどから色々と問合わせを受けましたが,どなたかが仕掛けていたのでしょうね。それで利益を得ている方がいるのかどうかは知りませんが,昨年の秋の税制改正でそれをやるつもりは毛頭ありませんでした。
 ではいつやるのかということですが,まずは政府税制調査会で学者の皆さんに粗ごなしの整理を理論的にしていただくことが必要になると思います。その整理を参考にしながら実際にどういう制度を作るか議論していくわけですから,「すぐ明日やる」という話では,まだないのだろうと思っています。ただ,課題として大きいことは認識していますから,そんなに延ばせるわけでもないということです
 問題意識としては,贈与税の税率が相続税の税率よりも急激に高くなるように設定されており,贈与がしにくくなっているということがあります。一方,相続税を最高税率で支払うことがわかっている資産家からすると,高い税率でも事前に贈与しておいた方が得になるという問題もあります。こういった問題を今後しっかり検討していかなければなりませんが,具体的にどのような形にするかは,まだ全く決めていません。

Q:一般の方々は贈与税の110万円の基礎控除への関心が高いようです。

A:宮沢洋一自民党税調会長の答え
 これから検討するわけで、いま私がどうこう言う立場にありませんが、個人的にはそう無茶なことはできないように思います。

ということで、どうやら直ちに贈与ができなくなるというわけではなさそうです。
ただし、これまでのような毎年110万円ずつ贈与していくという方法が徐々になくなっていくことは十分に予想されます。

今後予想される改正

それでは、今後予想される相続税・贈与税の一体化について挙げてみたいと思います。
今後の税制改正の流れに向けてとるべき行動が明確になり、よりよい相続対策のお役に立てば幸いです。

1 生前贈与の3年内加算ルール:持ち戻し期間の延長

現行では、生前贈与をしてから3年以内に亡くなった場合、相続税の計算上、3年以内に贈与した財産も加算して相続税を計算する、というルールがあります。
相続直前に駆け込みで贈与して、相続税を減らすことを防ぐためのルールです。
諸外国では、この持ち戻し期間がもっと長く設定されていますが、日本でもこれらに準じた期間にしていこうという流れになるかと思います。
例)イギリス7年、ドイツ10年、フランス15年、アメリカ一生涯さかのぼる
現実的には、現在の3年を徐々に長くしていき、最終的には一生涯まで遡れるようにしていくことを目指すのでしょう。

2 孫も持ち戻しの対象に

税制大綱や税調会長インタビューより一貫して読めとれるのは、「富裕層が生前贈与で相続税を節税している のはケシカラン!!」というスタンスです。
そして、相続税・贈与税一体化の目的の一つは、「贈与による節税効果をなくす」ということです。
現行税制では、前述の生前贈与の3年内加算ルールの対象者は、「相続または遺贈により財産を取得した人」とされています。
つまり孫やひ孫へ贈与した場合は、相続人でない限り原則として3年内加算のルールが適用されません。
こういった生前贈与による抜け穴封じとして、前述の贈与による持ち戻しの対象に、孫やひ孫についても含まれるように改正していくことが考えられます。

3 110万超の贈与も課税しない

相続税・贈与税一体化の最大の目的は、「相続でも贈与でも最終的に負担となる税金を同じにするから、高齢世代が持つ財産を早く若い世代に移行して、景気を活性化していきましょう」というものです。
その趣旨を鑑みると、持ち戻し期間は長くするけれども、代わりに年間110万いじょうの贈与をしても贈与税をかけないという仕組みにすることが考えられます。
ただし、贈与税申告そのものを無くしてしまうと、税務署が国民の贈与状況を把握することが出来なくなります。
そこで、贈与税は課税しないが、贈与税の申告は必要とする。贈与税申告がない場合はペナルティーを課すという仕組みになることが予想されます。

4 相続時精算課税を強制適用

一生涯持ち戻し、代わりに贈与税は課税しない…。
これはつまり、現行制度としてある相続時精算課税制度そのものです。
相続時精算課税制度とは、贈与するときは2500万円まで非課税とするが、相続が発生した時は、贈与した財産も相続財産に加算して相続税を計算する、という制度です。
現行制度では、この相続時精算課税制度を使うか、年間110万円まで非課税の贈与税をとるかは任意となっています。
税制改正大綱の中でも、相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すとハッキリと謳われています。
相続税・贈与税の一体化が本格的に導入される時には、相続時精算課税制度が強制適用されるということになるのかもしれません。

いつから110万贈与は廃止されるのか?

これは私の勝手な予想になりますので、あくまでも参考までにしていただきたいことをお断りしておきます。
コロナ禍や地政学的リスクによる経済動向次第によりますが、景気回復が早ければ、令和4年12月の税制改正大綱で何らかの具体的な内容が示され、令和6年1月以降の相続から適用開始となる可能性があると思います。

そうすると、令和4年・令和5年までは、110万円贈与はまだ大丈夫ということになりますので、早めの対策を講じていくことが必要となるでしょう。

相続税・贈与税のお悩みがある方へ

☑相続税の対策に、具体的に何をすればよいのか分からない…

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