経営者が押さえておくべき税制情報 (2025年12月のまとめ)
2026.01.13 税務情報経営者が押さえておくべき税制情報
(2025年12月のまとめ)
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今回のメルマガでは、
最新の税務情報や税制改正項目のうち、
企業経営者に重要なトピックについてご紹介します。
税制情報トピック1
与党から「令和8年度税制改正大綱」が公表
12月19日、自由民主党と日本維新の会から
「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。
主な改正項目は次のとおりです
(減):減税,(増):増税
※一部トピック2、3で紹介
【個人所得税】
(減)所得税の課税最低限が年収178万円(+18万円)に
所得税の基礎控除:最大104万円(+9万円)に
給与所得控除の最低保障額:74万円(+9万円)に
配偶者控除・扶養控除の所得要件は
所得62万円(年収136万円)以下に
(減)住宅ローン控除は5年延長
新築:令和10年から省エネ基準適合住宅や
災害レッドゾーンにある住宅を対象外
中古:借入限度額を拡充、控除期間13年に
(減)NISAのつみたて投資枠
0歳以上から投資可能に(年60万円・計600万円)
(減)暗号資産が20%分離課税に
「国民の資産形成に資する暗号資産」が対象
(減)セルフメディケーション税制
スイッチOTC医薬品は恒久化、それ以外は5年延長
(減)マイカー通勤手当の非課税限度額の見直し
新しい距離区分の新設(上限66,400円)
月5,000円までの駐車場代も非課税の対象に
(減)従業員への食事支給に係る非課税限度額の引上げ
企業負担額が月7,500円(税抜)に
(増)「1億円の壁」の対象者拡大
株式や不動産の売却益が3.3億円超は追加負担発生
(増)ふるさと納税の上限設定
給与収入1億円相当の人が対象
(増)防衛特別所得税の創設
令和9年分から所得税×1%の新たな付加税
復興特別所得税は1%引き下げて10年延長
【資産税】
(減)事業承継税制の承継計画の提出期限の延長
法人版は令和9年9月30日まで延長
※適用期限(令和9年12月31日)は延長なし
(減)特定資産の買換え特例
3年延長
(増)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
令和8年3月31日で廃止
【法人税】
(減)中小企業者等の少額減価償却資産の特例
30万円未満を「40万円未満」に引上げ
対象法人を「従業員数400人以下」に縮小
(減)大胆な設備投資を促進する投資減税が創設
大企業35億円、中小5億円以上の設備投資を想定
建物を含め即時償却や税額控除が可能
(減)研究開発税制の拡充
AI・量子などの分野への優遇措置が新設
中小企業は3年間の繰越控除が可能に
(増)賃上げ促進税制の見直し
大企業は令和7年度までで廃止
中堅企業も令和8年度までで廃止
中小企業は教育訓練費の上乗せ措置を廃止
(増)企業グループ間取引の書類保存義務の創設
グループ取引の根拠資料の作成・保存義務が発生
▼詳しくはこちらから
自由民主党・日本維新の会
【PDF】「令和8年度税制改正大綱」
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/212129_1.pdf
税制情報トピック2
貸付用不動産を利用した節税スキームに税制改正
今回の大綱では、
相続開始から5年以内に買った
貸付用不動産について、
評価額が低くなる路線価等ではなく、
「購入価額の8割」で評価するという改正が含まれています。
また、いわゆる「不動産小口化商品」について、
買った時期にかかわらず、「通常の取引価額」で
評価するという改正も同時に行われます。
これらの改正は、原則として、
「令和9年1月1日以後」に
相続等で取得をする財産の評価から変わります。
今後、夏から秋にかけて改正の詳細が公開され、
意見募集(パブリックコメント)が行われると思われます。
令和6年から開始したタワーマンションの
評価通達に続き、過度な節税対策を封じる見直しが
追加されました。
大綱では、今後の検討課題の1つに
不動産価格高騰で投機的取引となっている
「新築マンションの短期売買」を挙げており、
来年度以降も何らかの見直しが入りそうです。
税制情報トピック3
インボイス制度の経過措置に見直し
今回の大綱では、インボイス制度の定着に向け、
事務負担の配慮がより必要と考えられる
「個人事業者」に限り、
令和9年・10年に「3割特例」が認められます。
現在は売上税額の2割を納税する「2割特例」が
ありますが、売上税額の3割の納税になります。
この見直しは、「法人は対象外」のため、
法人は2割特例が使える期間が終了した後は、
基本的には簡易課税を選択することになります。
また、免税事業者等からの仕入れについて、
当初の3年間は8割、
その後の3年間は5割の控除が認められています。
こちらは期限が2年延長され、
7割控除(2年間)、
5割控除(2年間)、
3割控除(1年間)と段階的に下がる仕組みとなります。
取引先との取引の際にご注意ください。
最後に
令和8年度税制改正では、
前年に続いて「年収の壁」の引上げに
与野党の協議で時間をかけました。
基礎控除と給与所得控除の「本則部分」は、
今後、「見直し前の控除額」に
「直近2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率」を
乗じて調整されます。
令和8年分は「上昇率6.0%」を反映しましたが、
次回は令和10年と「偶数年」に見直しが行われます。
配偶者控除や扶養控除の所得要件も変わるため、
2年ごとにアップデート(更新)が必要です。
また、今回は
マイカー通勤手当や食事支給の非課税限度額が
見直されます。
いずれも従業員の手取りを増やすための
改正であり、この機会に、給与規程や
福利厚生制度の見直しを検討してはいかがでしょうか。

