中小企業の節税・提案に強い税理士です。
相続税・贈与税の相談もお任せください。

℡088-855-8205
電話受付/平日 9:00~17:00

お知らせ

海外出張日当について

2023.07.03 税務情報

長かったコロナ過もようやく終わりが感じられるようになり、リアルの出張等も増えてきているかと思います。白川も今年はできるだけ外に出る機会を増やして、色々な刺激を受けていきたいと考えています。
*****************************************************************************

さて、今回は、海外への出張がある場合の、出張旅費規程について考えてみました。

国内での出張旅費規程同様、実費での旅費精算額とは別途、出張日当などを支給できるものですが、この金額設定については、いくらまでならよいという明確な基準が存在しません。

その旅行の目的地、期間等の個別別的事情のほか、その支給額が同業者等社会的にみて合理的と認められる支給基準によって計算されているものかどうかを考慮し、最終的には社会通念上認められるか妥当な金額かどうかという観点で判定されることになります。また、会社規模によっても当然差があると考えられるでしょう。

中小企業における日当・宿泊費・支度料の目安は、色々な意見がありますので、一概にいくらならOK ということは難しいといえます。一方、近年の物価上昇や円安、日本と海外の物価の違いなど、経済状況の変化も勘案することができるかと思います。

税務調査でも指摘されることがあり、かつ判断に迷うことも多い論点ですので、今回白川の考えをまとめてみました。

【概要】

法人がその役員または使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含みます。以下同じ。)は、その海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理が認められています。

したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則としてその役員または使用人に対する給与となります。

なお、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができます。

【参考】国税庁HPタックスアンサー「No.5388 海外渡航費の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5388.htm

海外出張日当について

出張日当はいくらまでならよいという明確な基準はありません。

その旅行の目的地、期間等の個別別的事情のほか、その支給額が同業者等社会的にみて合理的と認められる支給基準によって計算されているものかどうかを考慮し、最終的には社会通念上認められるか妥当な金額かどうかという観点で判定されることになります。また、会社規模によっても当然差があると考えられるでしょう。

考察:日当はいくらまでならOKなのか?

例①実費は会社負担で実費精算し、それプラス日当を5万支給している場合
・年2回出張、年間24回出張:5万×24回=120万円(ちょっと多い?)
・年1回出張、年間12回出張:5万×12回=60万円(微妙?)
・年2回出張:5万×2回=10万円(問題ない??)

例②上記で、社長と配偶者の2人のみ役員の会社の場合
・2回出張、年間24回出張:120万×2人=240万
・1回出張、年間12回出張:60万×2人=120万
・年2回出張:10万円×2人=20万

中小企業における日当・宿泊費・支度料の目安は、色々な意見がありますので、一概にいくらならOK ということは難しいといえます。一方、物価上昇や円安、日本と海外の物価の違いなど、経済状況の変化も勘案することができるかと思います。

【参考】産労総合研究所「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr2007-2.html#

下記、色々な情報を基に、中小企業での目安を考えてみました。あくまでも白川の個人的見解ですので、これで税務調査において問題とならないというわけではありません。最終的な金額については、お客様の自己責任で決定していただきたいと思います。

目安 保守的 まあまあ 闘うレベル
国内出張日当 5千/日 1.5万/日 2.5万以上/日
国内出張宿泊費 1.5万/日 2万/日 3.5万以上/日
海外出張日当 1~1.5万/日 2~3万/日 5万以上/日
海外出張宿泊費 3万/日 4〜5万/日 6万以上/日
海外出張支度料

5~10万/日

年一回(初回のみ)

10~15万
年一回(初回のみ)

10~15万
年2回以上

 

支度料について

支度料とは、「外国旅行において内国旅行とは異なる準備・携行品等を要するためのこれらの費用にあてるため支給する旅費」のことです。海外出張となると、国内と違って準備と携行品に結構なコストがかかります。会社の仕事で出張しますので、そのコストを役員や従業員の個人に負担させるのは辛いものがあるでしょう。そこで「海外出張の準備費用の補填」として支度料を支払うものです。

出張日当同様に、この支度料もいくらまでならよいという明確な基準はありません。

その旅行の目的地、期間等の個別別的事情のほか、その支給額が同業者等社会的にみて合理的と認められる支給基準によって計算されているものかどうかを考慮し、最終的には社会通念上認められるか妥当な金額かどうかという観点で判定されることになります。

【参考】国税庁HPタックスアンサー「No.5388 海外渡航費の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5388.htm

【参考1】「国家公務員等の旅費に関する法律」における支払基準

(支度料)
第三十九条 支度料の額は、出張及び赴任の区分並びに出張にあってはその旅行期間に応じた別表第二の定額による。
2 本邦から外国に出張又は赴任を命ぜられた者が過去において支度料の支給を受けたことがある者である場合には、その者に対し支給する支度料の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定による額から、その赴任又は出張を命ぜられた日から起算して過去一年以内に支給を受けた支度料の合計額を差し引いた額の範囲内の額による。
3 外国在勤の職員が他の外国に出張又は赴任を命ぜられた場合において支給する支度料の額は、第一項の規定にかかわらず、同項の規定による額から、前に受けた支度料の合計額を差し引いた額の範囲内の額による。

毎月1週間ほどの海外出張がある人に、毎回この支度料を払うのはちょっと違和感があります。そのため支度料の支払い規準が決められています。

まとめると、『過去の海外出張から1年以内にまた海外出張へ行った場合は支給無し』ということです。海外出張の多い会社で、毎回支給していたら相当な負担になるというのが理由です。税務調査では、この公務員基準を根拠に争点となる可能性もあります。

【参考2】産労総合研究所「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」

https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr2007-2.html#

繰り返しになりますが、以上はあくまでも白川の個人的見解です。この金額であれば税務調査において問題とならないというわけではありません。最終的な金額については、お客様の自己責任で決定していただきたいと思います。具体的金額設定でお悩みの方は、個別相談もさせていただきますので、ご相談ください。

以上

20230703 白川浩平